ホワイトボードってなんで消せるの?

2020-01-23

ホワイトボードって便利ですよね。専用のペンを使うかもしれませんが、消せるのは非常に便利です。でもふと不思議に思いました。ホワイトボードマーカーといえど、紙や布に書けば、消せません。まあ染み込むからだろう位のことはわかりますが、じゃあなんで油性のマジックインキをホワイトボードに書いたら消えないのか?ホワイトボードマーカーとの違いってなんだ?という疑問が湧きました。

ホワイトボードマーカーのインクは特殊インク

ホワイトボードってただのツルツルの白い板ですよね。消せる秘密はマーカー側にあるのでしょう。ホワイトボードマーカーは、着色剤に「顔料」、添加剤として「はく離剤」が使われており、これがアルコール溶剤に溶けたものがインクとしてペンに封入されています。この添加剤には、はく剤(と樹脂)があらかじめ混入しているので、消せるわけです。

ホワイトボードマーカーで字を書く、字を消す仕組み

書く

ホワイトボードマーカーで字を書くと、そのインクは、溶剤、着色剤、樹脂、はく離剤の成分が混ざり合った状態でボード表面に付着します。 その後溶剤が揮発し着色剤と樹脂が結合して皮膜を形成しますが、この状態がいわゆる字が書かれている状態ということになります。

消す

この文字(皮膜)ははく離剤によってボード面から浮いた状態になるので、この文字はホワイトボード上で弱くくっ付いているという状態なわけです。そのため、軽く擦れば剥がれ落ちる、つまり字が簡単に消せる、という仕組みです。
そのため、書かれる側が染み込む素材の場合は文字が消えるはずないのです。

たまに消えないことがあるんだけど、どうなってるの?

上の仕組みを理解すれば分かりますよね。肝ははく離剤なわけです。顔料+樹脂部分がうまいことはく離剤に乗っかっていない状態になると消えない、ってことです。この状態が起こるのは主に以下のケースです。

  1. ボードに傷がついている(あるいは表面がデコボコ状態)
  2. ボードが汚れている(はく離剤がうまく乗らない)
  3. 書いて時間が経っている(はく離剤が揮発してしまった)

1は古いボードにありがちですよね。散々使い倒せばそりゃ表面は傷だらけになるわけで。消えないからと言ってイレーザーでごしごしごしごしやってよけい傷をつけるなんてことやってませんか?

2は微妙です。古くなったボード表面は空気中の汚れが付着してはく離剤に影響を与えることもあるでしょう。よく言われているのが普段のお手入れの問題。イレーザーで消せないからといってきれいにしようと洗剤をつけた雑巾なんかで拭くのはご法度です。界面活性剤が表面に残っているとインクの成分がこの界面活性剤と反応してしまい、本来の構造にならなくなってしまいます。

3はまあそうでしょう。はく離剤もそのままというわけにはいかないのでいずれ揮発します。そうすると顔料+樹脂部分が定着してしまうので消えなくなります。その日に書いた文字はその日のうちに消す、ということを習慣としましょう。

汚れちゃった場合はどうやってきれいにするの?

文字消しの基本はあくまでも専用のイレーザーを利用することです。それでもイレーザー自体が汚れていればきれいに拭き取れません。わかっちゃいるけど古いイレーザーをいつまでも使っていて、消そうとしてもけどなかなか落ちない、なんだか全体が黒ずんだ、というのはかっこ悪いですね。

全体をきれいにしたい場合はまず、安易に水拭きでいいと思います。それでも落ちない時は. . .
仕組みをもう一度理解しましょう。消えない原因は顔料+樹脂の定着です。これを剥がすわけですが、もう一度揮発した溶剤を戻して、元のインクの成分に近くすればいいのです。つまりアルコールがもっともふさわしいということです。無水エタノールとしてドラッグストアに売ってますから簡単に手に入ります。

繰り返しますが、洗剤はダメですよ。

アルコール、持ってないんだけど。消せる裏技は?

知っている人は知っている方法です。上からもう一度書いて消す、です。理屈としてはもう一度溶剤が含まれたインクでなぞるわけですから、古い文字部分がもう一度溶けるってことですね。やっていることはアルコールで拭くことと同じです。

豆知識

多くのホワイトボードマーカーのお尻部分って平らでは無いこと知ってました?

写真で見てください。

ホワイトボードマーカー

これはお尻を下にして立てられないようにしているとのことです。(細心・太心ののタイプなど、例外はあります)
立てられないというより、立てた状態では保管ができないようにしている、ということです。

理由は、縦置き保管をするとインクの中の顔料成分が下に沈むことがあり、成分が均質でなくなるからだそうです。そうなると文字部分やはく離剤がうまくボードに乗らないため、消せない文字になりかねないからですね。

おわかりですか?会社の事務用品として、箱に入った状態で立ててマーカーを保管しているあなた、それは愚かな行為ですよ。

また、書いた直後はうまく消せません。

あ、間違えた。シュッとイレーザーで拭う(即消し)、という行為はボードを汚します。溶剤が揮発して、はく離剤が定着した後に消しましょう。10秒程度は待ちましょう。

あ、やべ。油性マジックで書いちゃった。同じところに置いとくなよ!への対処

もちろん普通では消えませんし消えたら意味ないですよね。でも消したい。

アルコールで消すのがベスト。それもなければ?? そうです、上で使った裏技がここでも使えます。

ホワイトボードマーカーのインクに含まれる溶剤で上からなぞれば、アルコールで拭くのと理屈は同じ。ペン先汚れますが、消せることは消せます。応急処置として覚えておきましょう。